今回のテーマは「肺がん」について紹介していきます。
#11 肺がんを疑われたら?
日本人が罹るがんの中で、近年もっとも多いのが「肺がん」です。早期には症状が見られず、進行した状態で発見される場合が多いため、がんの中でも治療が難しい疾患。今回は肺がんの診断から治療の選択までをご紹介します。
肺がんの罹患率
以前は日本人の男女ともに「胃がん」の発症数が高い傾向にありましたが、戦後は衛生環境もよくなり、胃がんの疾患率は減少傾向に。反対に「肺がん」の罹患数が年々増加傾向にあります。最大の原因として、たばこの影響が指摘され、喫煙・受動喫煙・アスベストなど職業的曝露・大気汚染・家族歴・年齢などの原因があげられます。
出典:厚生科学審議会科学技術部会及び地域保健健康増進栄養部会(合同部会)資料: がん研究助成金地域がん登録研究班報告書より抜粋
たばこ消費量と肺がん死亡率について
肺がんは発見が遅れると治療が難しく、2020年のデータでは、がんによる死亡数で男女ともに肺がんがトップ3に入っています。
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」から抜粋
肺がんに限らず、がんに喫煙が関係していることは科学的にも証明されています。近年、喫煙率は減少傾向にありますが、肺がんによる死亡率は増加傾向に。これは喫煙開始から肺がんを発症して死亡するまでの期間が約30年以上の時差が生じていると考えられます。
出典:東京都医師会 タバコ対策委員会編:タバコQ&A(改訂第2版). 東京都医師会. 2019
肺がんの発見から診断、そして治療方針の決定まで
一人ひとりの患者さんに合った治療法を見つけていくためには、肺がんであるかどうかや、がんがどれだけ進んでいるかなどの診断が必要なため、いくつかの検査を行います
- ●スクリーニング検査
肺がん検診で肺がんが疑われる人や、自覚症状があり心配して受診しにきた方には、「スクリーニング検査」が行われます。 - ●確定診断
肺がんが強く疑われた場合、肺がんかどうかを確定するために行う検査です。 - ●病期診断
肺がんの治療方針を決めるために、組織型に加えて、病期(ステージ)を調べます。 - ●治療方針の決定
主な治療法は「手術」「放射線療法」「薬物療法」の3つです。これらは単独で行われる場合もありますが、治療効果を高めるため、これらを組み合わせる集学的治療が行われることもあります。がんの進行度(病期)やがんの性質、患者さんの年齢や全身状態、治療後の生活への影響などを十分考慮し、患者さんの状態に応じて決めていきます。
★禁煙のすすめ★
タバコと肺がんの関係
肺がん最大の原因はタバコといわれています。たばこを吸う人の中でも、吸いはじめてからの年数が長い人、または一日に吸う本数が多い人が肺がんになりやすく、タバコを吸わない人でも周囲に流れるタバコの煙を吸うことにより、リスクが高まることもあります。
喫煙と関係の薄い肺腺がんは治療法が進歩し、予後も改善してきていますが、喫煙と関係の深い肺扁平上皮がん・小細胞肺がんはこの20年間の進歩は乏しいままです。
今からできる最大の予防
日本人を対象とした研究では、がん全般の予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスの良い食事、身体活動、適正な体形の維持、感染予防が有効であることが分かっています。禁煙を始め、10年後に禁煙しなかった人と比べると肺がんのリスクを約半分に減らせることが分かっています。肺がんを予防するために、たばこを吸っている人は禁煙し、吸わない人はたばこの煙を避けて生活し、40歳を過ぎたら年に1度は肺がん検診を受けましょう!
肺がん治療についてさらに知りたい方はこちら
- 呼吸器外科
呼吸器センター 副センター長
(兼)呼吸器外科 主任科部長 岩永 幸一郎 - 肺癌の治療には早期発見が大切です。検診を受けましょう。
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