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#15 下肢の人工関節について | 加古川中央市民病院
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今回のテーマは「下肢の人工関節について」を紹介していきます。

#15 下肢の人工関節の手術について

変形性関節症や関節リウマチ、あるいは外傷によって傷んで変形した関節など、さまざまな関節の障害に対して、人工の関節に置き換えることで痛みの軽減と機能の改善が期待できます。

人工関節置換術は日本全体でも年間約15万件の手術が行われており、当院でも関節センターを設け、この人工関節手術に力を入れています。

人工股関節置換術

対象疾患は、変形性股関節症、大腿骨頭壊死症、関節リウマチ、急速破壊型股関節症などがあります。国内では年間約7万件の手術が行われています。人工股関節インプラントは、金属製のソケットとステム、セラミックか金属製の骨頭、そしてソケットの内側にはめ込むポリエチレンのライナーでできています。

人工膝関節置換術

対象疾患は、変形性膝関節症、骨壊死、関節リウマチ、感染、外傷などがあります。国内で年間約9万件の手術が行われています。
人工膝関節インプラントは、関節の滑らかな動きを再現できるように、大腿骨部、脛骨部の2つの部分からできています。大腿骨部と脛骨部のインプラントは金属製ですが、脛骨部の上面はポリエチレンでできていて、これが軟骨の代わりになります。一方、関節症性変化が内側・外側の片側に現局していて、十字靭帯が温存されており可動域が良い症例には、人工膝関節片側置換が行われることもあります。

人工足関節置換術

対象疾患は、変形性足関節症、関節リウマチなどがあります。症例数は、膝関節や股関節に比べてまだまだ少ないです。
人工足関節インプラントは、脛骨側に入れる脛骨コンポーネントと距骨側に入れる距骨コンポーネントの、2つにわかれています。
国内では2種類の人工足関節が使用可能です。ひとつはセラミック製で2つの部品(脛骨コンポーネント、距骨コンポーネント)、もうひとつは金属製で3つの部品(脛骨コンポーネント、距骨コンポーネント、ポリエチレンインサート)から成り立っています。
その他として、距骨全体をセラミック製の人工物に置換する人工距骨挿入術を行うこともあります。人工距骨の特徴は、患者さんの正常な側の距骨をCTで撮影し、一人一人の形に合わせてオーダーメイドで作成することです。距骨壊死に加えて脛骨が傷んでいる場合には、人工距骨を挿入し脛骨を人工関節に置換するという組み合わせが可能です。

セラミック製の場合

人工関節合併症

人工関節の合併症としては、出血、感染、脱臼、ゆるみ、骨折、深部静脈血栓症・肺塞栓症、神経障害などがあります。

人工関節に関してよくある質問

個人差はありますが海外の学術文献によると、95%の人が15年以上の長期に渡って人工関節を維持できているとの臨床結果が報告されています。最近の人工関節は、製品の研究も進み、さらに優れた臨床結果も期待できるようになってきています。人工股関節手術の場合、入れ替え手術が必要となる患者さんは、手術後20年が経過した段階で6人に1人程度、術後30年で4人に1人程度、また、人工膝関節手術でも術後20年で6人に1人程度という報告もあります。

体重が増えると、股関節や膝関節により多くの負担がかかります。
人工関節を受けた人も、関節を長持ちさせるために体重コントロールを心がけることが必要です。

ゴルフ、水泳、サイクリング、体操、ウォーキング、ゲートボール、ボーリング、テニスなどは大丈夫です。
一方、跳躍や走行をするスポーツ、コンタクトスポーツ、球技、乗馬、スキーなどは避けるべきと考えます。

人工膝関節の重さは約400グラムぐらいですので,さほど重いものではありません.体の中に入れても重さを感じることはありません。

人工関節の治療を支えるテクノロジー

人工関節手術の成功の鍵は、最適なサイズのインプラントを正確な位置に設置する適切な術前計画とそれを可能にするシステムです。
それらのシステムとして、人工関節ナビゲーションシステムと人工関節支援用手術ロボットがあります。最良な関節機能を得ることができ、合併症を防ぐことができます。

人工関節ナビゲーションシステム

コンピュータに取り込んだ画像データから三次元仮想空間を再構築し、正確に手術器具やインプラントの位置や方向を決定できるように、これらの位置情報を術者に提示できるシステムです。このシステムを用いることで、より安全で、より正確な手術を実現できます。 

人工関節支援用手術ロボット

人工関節手術において、さらなる正確性・安全性・満足度向上を期待できるツールです。3つの機械から構成され,その中の1つにロボットアームという実際に骨を削ったり、骨切りをする機器が含まれています。患者さん個々の術前計画と3D画像化(CT-Based)とロボティックアームによる補助機能により、軟部組織温存や最小侵襲での手術により手術精度の向上や早期リハビリ等が期待できるロボティック技術で、今後導入が期待されます。

整形外科
主任科部長 西山 隆之

 

整形外科では「人工関節患者会」を年に2回開催しています。人工関節手術を受けられた方、受けるべきか悩んでおられる方、どなたでも参加可能です。詳しくは病院ホームページをご覧ください。

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