地方独立行政法人加古川市民病院機構 理事長
大西 祥男
2011年4月に地方独立行政法人加古川市民病院機構が設立され本年で14年目を迎えます。1950年に国民健康保険直営宝殿病院、1974年に神戸製鋼所加古川診療所として開設された医療施設は、各々加古川市民病院、神鋼加古川病院として地域になくてはならない病院として発展してきました。しかし、医師不足および施設の老朽化の点から将来の地域の医療提供体制を考慮し、2016年に新統合病院 加古川中央市民病院の開院に至りました。公立病院と民間企業病院の統合という全国的にも稀有な統合であり、全く異なる組織風土をもつ職員の一体感、連帯感の醸成に始まり、高度急性期・急性期医療の充実を図ってきたところです。
2020年からは新型コロナウイルス感染症が国内外に蔓延し、繰り返す感染の波も10波を数えました。新型コロナウイルス感染症の重点医療機関として最大52床の確保病床に重症・中等症を受け入れると同時に、通常診療・手術・救急を止めることなく継続してきました。昨年5月8日には感染症法上の2類相当から5類へ移行し、そしてようやく本年4月より通常の医療提供体制に戻っています。この間、医師をはじめとして若い医療従事者の教育にも注力し、開院時には1,300名の職員は現在1,600名を超えてきました。
ここ数年コロナ禍の中、国内外の社会情勢は紛争地域の拡大や円安など非常に不安定になり、電気やガスのエネルギー価格、食材費、医療材料費の高騰が病院にも押し寄せています。少子高齢化は大きな問題で、医師はもちろん看護師、薬剤師をはじめとする医療従事者の確保も将来に向けた対策が必要です。一方で、医師の働き方改革もスタートし時間外労働の上限規制に加え、2025年に向けた地域医療構想の取り組みや2026年度以降の新たな地域医療構想、新たな新興感染症への対策、医療DXならびにサイバーセキュリティー対策にもしっかりと対応していかなければなりません。
開院以来、より専門性の高い高度医療を追求し、より質の高いチーム医療を実践し、そしてより確かな技術と豊かな人間性を兼ね備えた医療人を育成することを掲げて取り組んできました。加古川市民病院機構の理事長並びに加古川中央市民病院の院長を務めてきましたが、2024年4月からは院長を平田健一先生に交代し、平田院長の下で新たなスタートをきってまいります。
平田院長とともに、地域医療の充実に向けて、地域の病院、診療所や介護施設との連携を強化し、急性期病院としてこの地域における地域完結型医療、地域包括ケアシステムの構築に、その一翼を担っていきたいと思います。職員一丸となって、地域医療に貢献していきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
2024年4月
加古川中央市民病院 院長
平田 健一
2011年4月、加古川市民病院と神鋼加古川病院とが統合し、地方独立行政法人 加古川市民病院機構が設立され、現在の加古川中央市民病院は、2016年7月1日に開院し、本年で8年目を迎えます。「いのちの誕生から生涯にわたって地域住民の健康を支え、頼られる病院であり続けます」を理念に掲げ、地域の皆様に信頼され、先進的な医療を安全に提供することを目標に職員一同努力しています。当院が地域医療の充実において役割を果たす上で、関係の皆様には多大なご支援をいただいたことに心より感謝申し上げます。
加古川中央市民病院は地域の医療を守るため、新型コロナウイルス感染症の重症・中等症に対応すると同時に、600床、33診療科を有する急性期総合病院として安全で最先端の医療を届けるべく努めてまいりました。コロナ禍においても2016年の開院以来、600床、5大センターを中心に33診療科の総合力で高度専門医療、救急医療に取り組んできました。2023年1月からは、新たに「呼吸器センター」をオープンし、現在は「消化器センター」「心臓血管センター」「こどもセンター」「周産母子センター」「がん集学的治療センター」「呼吸器センター」の6つの診療センターと34の診療科を中心に高度専門医療に取り組んでおり、地域の急性期医療の拠点としての役割を果たして来ました。さらに、急性期医療に加えて地域の医療機関や訪問看護ステーション、介護施設などとの連携を強化し、地域包括ケアシステムの構築を進めています。2024年3月には増築棟が完成し、診療機能がさらに充実しています。
診療面に加えて加古川中央市民病院は優れた医療人の育成を基本方針に掲げており、教育に力を入れています。当院で勤務する医師、看護師をはじめ多くの医療スタッフは、学生や研修医をはじめ若い医療者に対して熱心で親身になって教育するスタッフが揃っています。将来、この地域の医療が安定して受けることができるように、また、地域の皆さまから「加古川中央市民病院で治療を受けたい、この病院があるから安心して暮らせる」と言っていただけるよう職員一同努めてまいりたいと思います。今後ともご支援いただきますようよろしくお願いいたします。
2024年4月