心臓血管外科
東播磨地域の循環器疾患を受け持つ心臓血管センターとして心臓・大血管・末梢血管領域ほぼ全ての手術を行っています。虚血性心疾患においては低侵襲性を目指して体外循環を用いない冠動脈バイパス術(OPCAB)を積極的に行っています。また僧帽弁疾患においては可及的に自己弁を形成することを目指しています。
小開胸僧帽弁形成術(MICS)も行っており低侵襲性や美容面でのquality向上に努めています。胸部大動脈ステントグラフト治療実績は135例となり、大動脈疾患においては適応があれば緊急のステントグラフト内挿術(TEVAR / EVAR)にも対応しています。基本的に常時、緊急症例には対応する体制をとっており、近隣の病院・クリニックの先生のニーズに応えられるよう努めております。透析患者さんの心大血管手術もできる体制としています。
手術室には心血管病変に対する放射線血管内治療と開心術が同時に行えるハイブリッド手術室が備わっています。高齢者、重症例に対するステントグラフト治療やカテーテルを使った大動脈弁手術を実施しています。今年度4月には新たなハイブリッド手術室が完成し、需要の高まっているカテーテルによる低侵襲治療件数の増加が期待されます。また周産母子センター、こどもセンターと提携しながら新生児から心臓血管手術を行っています。
循環器内科
心臓血管センターは24時間365日の受け入れ体制で循環器疾患、血管疾患全般にわたり診断・治療を行っています。急性心筋梗塞などの時間との争いになる救急疾患に対するカテーテル治療はもちろんのこと、不整脈に関してはカテーテルアブレーション治療をはじめとし、デバイス治療などを積極的に行っています。また心臓血管外科などと協力しハートチームとして弁膜症に対するカテーテル治療も積極的に行っております。また、小児循環器内科の先生も加わり、小児から成人と幅を広げ東播磨地域のさまざまな循環器疾患に対応していきます。
虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、心不全や不整脈、弁膜症などの循環器疾患全般にわたり診断ならびに治療を行っています。平成13年より24時間の心臓病の受入れ体制を行っており、急性心筋梗塞や不安定狭心症などに対してのカテーテル治療はもちろんのこと、IABP(大動脈バルーンパンピング)やPCPS(経皮的心肺補助装置)、IMPELLAなどの機械的サポートも駆使し治療にあたっています。
重症心不全症例には、ASV導入や両室ペーシング等(CRTD等)の新しい治療法にも取り組んでいます。
動悸や失神・意識消失発作などの症状のある不整脈に対しては、心臓電気生理学的検査を行っています。徐脈性不整脈に対しては、恒久的ペースメーカー植え込み術を、頻脈性不整脈にはその根治を目的として最新のカルト診断システム(心臓内の電気信号の流れを3Dマッピングする装置)を導入し、カテーテルアブレーション(電気的焼灼術)を行っています。また、大動脈や末梢血管に対しても心臓血管外科と協調して、カテーテル治療やステント植え込み術を行っています。
下肢静脈瘤に対しては形成外科と協力しストリッピングやレーザー治療を行っております。心筋梗塞、狭心症、心不全、心臓手術後といった心臓病の患者さんが、低下した体力を回復し、精神的な不安を払しょくし、社会や職場に復帰し、さらに心臓病の再発を予防し、快適で質の良い生活を維持することを目的として、運動療法、患者教育、生活指導といった心臓リハビリテーションを積極的に行っています。
小児科
生まれつき心臓の形に異常のある先天性心疾患や学校検診などで見つかる不整脈、肺高血圧、川崎病冠動脈後遺症、心筋炎や心筋症などについて、胎児期・新生児期から乳幼児、学童に至るまで、すべての時期の小児心疾患を対象に診療を行っています。小児のカテーテル検査および治療、産科外来で胎児心エコーも行っています。成人期に移行する患者さんについて成人診療科と連携をとっています。
ハイブリッド手術室
高精度な血管カテーテル治療を行いながら手術が可能な「ハイブリッド手術室」を設置しています。血管造影室と手術室は別々であると、患者さんの移動が必要になり、迅速な対応が難しく、身体への負担もありますが、ハイブリッド手術室では、この問題が解決されます。また手術台も可動し、患者さんは横たわった状態のままで様々な角度の治療が可能になるので、さらに精度の高い手術も期待できます。
マグネティックナビゲーションシステム
不整脈の治療のためのカテーテルアブレーションをより安全にかつ正確におこなうことを目的とした装置です。患者さんへのX線被ばくの低減も報告されています。医師は別室の操作室から、新しいコンピュータを用いて、患者さんの横に置かれたマグネット(磁石)を動かしながら、カテーテルを必要な部位に誘導していきます。カテーテルの動きを非常にきめ細かく制御可能なため、安全かつ正確なカテーテルアブレーションが期待されます。