TEL
顎変形症治療について|歯科口腔外科|加古川中央市民病院

顎変形症治療について / 歯科口腔外科

ホーム > 診療科・部門 > > 顎変形症治療について

顎変形症とは

 顎変形症とは上あごまたは下あご、あるいはその両方の大きさや形、位置などの異常によって顔の輪郭の変形とかみ合わせの異常を起こす病気です。 この病気を治療するには歯科矯正治療に加えあごの骨を切る手術(外科的矯正治療)を併用する必要があります。

 

顎変形症の原因

 原因ははっきりとは証明されていませんが、出生時あるいは幼少期に存在した顔面の変形が成長発育に伴ってより目立つようになり、成人になってかみ合わせの改善の必要を感じるようになる方が多く見受けられます。このような患者さんには家族や親類の方にも受け口(下顎前突)や出っ歯(上顎前突)の方がいらっしゃることもあり遺伝的要因の関与も疑われています。あごの骨やあごの関節の発育・形態異常、あごへの外傷、内分泌異常なども原因の一つと言われています。

 また、生まれ持った疾患(病気)が原因で生じることもあり、このような場合にも治療の対象となります。

 

治療の目的、流れ

 顎変形症治療の目的はかみ合わせの改善です。外見的な美しさ(美容)を目的として行われる美容外科的な治療とはこの点で大きく異なりますが、結果として外見的なバランスも改善されます。

 一般的には手術前に歯科矯正治療を行います。手術の後にも歯科矯正治療を継続し、全体として概ね3年くらいの治療期間が必要となることが多いです。

 近年、治療開始後早期に外科的矯正治療を行う場合(surgery first)もあります。なお、顎変形症の治療は歯科矯正治療、手術も含め保険適用となります。

 

 

1.検査

 規格化された頭のレントゲン、あごだけのレントゲンなど必要に応じたレントゲン撮影、模型制作、顔面・口腔内写真撮影、あごの動きの検査等を行います。通常検査には2回程来院していただきます。

 

 

2.診断

 検査で得た資料をもとに分析を進め、分析結果から骨の問題が大きいと判断された場合に顎変形症と診断されます。

 

3.術前矯正治療

 顎変形症の治療はすぐに手術を行うわけではありません。ほとんどの場合、手術後にしっかりと咬み合う歯並びを歯科矯正治療で構成してから手術を行います。このとき抜歯が必要となる場合もあります。 術前矯正の期間は約2年程度です(治療の難易度や歯の動くスピードによって前後します)。

 また、一時的に初めの状態より咬み合わせが悪くなっているようにみえることがありますが、これは手術後にしっかり咬み合うように調節しているためです。

 

 

4.手術

 手術は下あごのみ、上あごのみ、上下のあご両方など様々なバリエーションがあります。また骨の切り方も千差万別です。実際にどのような手術を行うかは口腔外科、形成外科とのカンファレンスによって決定します。口から食事ができるようになるまで入院していただきますので、10日前後の入院が必要となります。

 なお、当院ではほとんどの症例で顎間固定(上下顎をワイヤーで固定すること)は行っておりません。

 

 また、当院では神戸大学歯科口腔外科と積極的に連携を取りながら治療を行っています。そのためご希望や居住地等による利便性により神戸大学で手術を受けて頂くことも可能です。

 

5.術後矯正治療

 手術後、口が開くようになったら細部の調整を行います。期間は約半年から1年位と比較的長い期間かかりますが、これは矯正装置がギブスのような役割を担う意味もあるためです。

 術後矯正治療が終了したら保定装置を使用していただき経過観察に移行していきます。