消化器領域には多数の臓器が存在し、それらの各々において様々な疾患群がみられます。また、複雑な病態や稀少疾患に遭遇して臨床診断の確定や治療方針の決定に難渋することも多く経験されます。さらに、救急医療の充実を施設全体の重点行動方針とする当院へは、診療の遅滞が許されない重篤な病態を呈する緊急疾患も多数搬送されます。以上のような難症例に対して的確で迅速な診療を提供するためには、内科系と外科系の隔たりを解消して緊密な関係を構築することがきわめて重要です。こうした課題を解決する目的で、当院では消化器内科と消化器外科という個々の専門家集団を統括する消化器センターを設立して常に一体化した診療活動を行っています。
消化器センターとしての密な連携の下で、病態の把握、臨床診断の確定、治療方針の決定などの一連の診療過程を正確、かつ円滑に進めるように努めています。また、消化器センターに放射線科や病理診断科などの院内他科も加えて、定期的にカンファレンスを開催しています。診療に関する色々な知識や経験を交えて議論を繰り返すことにより、偏りのない標準的な診療方針が採用できると考えています。
日々急速に革新される医療知識や技術を消化器センター構成員の全てが共有して、先進的な医療を志向する体制としています。以上のような診療環境の下で、種々の消化器疾患に対して薬物療法、内視鏡治療、外科手術、化学療法、放射線療法、さらに緩和療法などを駆使した総合的な治療戦略が展開可能です。一方、内科系病棟と外科系病棟を統合して消化器センター病棟として運営することにより、様々な検査手技を用いる臨床診断の過程から外科手術の施行による治療の完遂までを一貫して同一の看護スタッフが管理できるようになり、より深化した看護体制を提供することが可能となりました。今後も消化器センターとして内科・外科の両領域を統括した活動を続けていきたいと思います。