ここに記載している基準値は加古川中央市民病院の基準値です。
当院では頻繁に検査される項目は、全国で共通して使用することが可能な共用基準範囲を採用しています。それ以外の項目は、当院で使用している機器や試薬に合わせた基準値を採用しています。使用する機器や試薬が異なるため、施設ごとに多少異なります。
基準範囲とは
検査を判読する際の目安となる値で、健常者から一定の除外基準を設けて選別した人の検査値の分布の、中央95%の区間を基準範囲としています。実際には明確に線引きが可能なものではなく、基準範囲内でも疾患が有する場合もありますし、健康でも基準範囲を逸脱する場合もあります。正常や異常を区別したり、特定の病態の有無を判断する値ではありません。
臨床判断値とは
臨床検査値を用いて、特定の病態に関して、その診断・予防や治療・予後について判定を行う際の基準となる値です。
血液検査項目
※ここに記載している項目がすべてではありません。
生化学検査
検査項目 | 基準範囲・臨床判断値 | 単位 | 検査の説明 | |
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蛋白 | TP(総蛋白) | 6.6-8.1 | g/dL | 血液中に含まれている蛋白質の総称です。身体の働きに重要な役割を果たします。低値なら栄養障害、高値なら炎症や脱水など疑われます。 |
アルブミン | 4.1-5.1 | g/dL | 血液中で最も多い蛋白で、肝臓で作られます。全身の栄養状態を調べる検査です。 肝細胞の障害、ネフローゼなどの腎疾患、栄養障害などで低下します。 | |
A/G比 | 1.32-2.23 | ― | 血液中のアルブミンとグロブリンの比を調べることで、血液中の蛋白の異常を知ることができます。 | |
肝機能 | AST | 13-30 | U/L | 肝臓、骨格筋、心筋に多く含まれる酵素です。 肝機能と心筋障害の検査で、肝疾患、心筋梗塞などで上昇します。 |
ALT | 男 10-42 女 7-23 | U/L | 主に肝臓に存在する酵素です。肝硬変、肝炎などで上昇します。 | |
LD_IFCC | 124-222 | U/L | 体内のほとんどすべての組織に存在する酵素です。特に肝疾患、心筋梗塞、悪性腫瘍などで上昇します。 | |
ALP_IFCC | 38-113 | U/L | 主に肝臓、胆管、骨、胎盤などに多く分布しており、これらの臓器の疾患で上昇します。 | |
γ-GT | 男 13-64 女 9-32 | U/L | アルコールによる肝障害に敏感で肝臓や胆のう疾患時などで上昇します。 | |
ChE(コリンエステラーゼ) | 男 240-486 女 201-421 | U/L | 肝臓で作られる酵素で、低値なら肝硬変、慢性肝炎や低栄養、高値なら脂肪肝やネフローゼ症候群など疑われます。 | |
NH3(アンモニア) | 12-66 | μg/dL | 重度の肝硬変や肝機能の障害で、肝臓の代謝能力が低下すると上昇します。 | |
T-Bil(総ビリルビン) | 0.40-1.50 | μg/dL | 肝臓や胆道の障害で黄疸が見られるとき上昇します。 | |
筋肉 | CK | 男 59-248 女 41-153 | U/L | 骨格筋、脳、心筋に多く含まれています。筋疾患、心筋梗塞などで上昇します。 |
膵臓 | AMY(アミラーゼ) | 44-132 | U/L | 膵臓や唾液腺に含まれる消化酵素です。膵臓疾患のスクリーニング検査で、急性膵炎で上昇します。 |
電解質 | Na(ナトリウム) | 138-145 | mmol/L | 身体の水分の保持や浸透圧の調整などの働きをしています。 |
K(カリウム) | 3.6-4.8 | mmol/L | ナトリウムと同様に身体の水分の保持や浸透圧の調整などの働きをしています。 筋肉や神経の活動に重要な役割を果たしています。 | |
Cl(クロール) | 101-108 | mmol/L | ナトリウムやカリウムと同様に身体の水分の保持や浸透圧の調整などの働きをしています。 | |
Ca(カルシウム) | 8.8-10.1 | mg/dL | 骨粗鬆症などの骨代謝異常や、各種ホルモン異常などで変動します。 | |
腎機能 | UN(尿素窒素) | 8.0-20.0 | mg/dL | 血液中の尿素に含まれる窒素分です。腎機能障害時に上昇します。 |
CRE(クレアチニン) | 男 0.65-1.07 女 0.46-0.79 | mg/dL | 腎臓の働きが低下し排泄障害が起こると上昇します。 | |
UA(尿酸) | 男 3.7-7.8 女 2.6-5.5 | mg/dL | 尿酸は身体の細胞の核にあるプリン体が壊れてできるものです。 血液中の尿酸濃度が上昇すると、関節に沈着し痛風を引き起す可能性があります。 | |
脂質 | TC(総コレステロール) | 142-248 | mg/dL | コレステロールは血液中に含まれる脂肪分のひとつで、細胞やホルモンを作るために必要な物質です。 上昇すると動脈硬化が進行しやすくなります。 |
TG(中性脂肪) | 男 40-234 女 30-117 | mg/dL | 皮下脂肪の主成分です。上昇すると内臓脂肪が増えたり脂肪肝の原因になります。 | |
HDL-C | 男 38-90 女 48-103 | mg/dL | 「善玉コレステロール」と呼ばれており、動脈壁に付着したコレステロールを再び血液中に洗い出す働きがあります。 | |
LDL-C | 65-163 | mg/dL | 「悪玉コレステロール」と呼ばれており、肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ役割を担っています。 動脈硬化の危険因子で、血管内に付着して動脈硬化を発生、悪化させます。 | |
糖代謝 | Glu(血糖) | 73-109 | mg/dL | 糖尿病診断の決め手となる検査です。 |
HbA1c | 4.9-6.0 | % | 過去1~3ヶ月の長期間の血糖がうまく調整されているかどうかの目安になります。 | |
炎症 | CRP | 0.14未満 | mg/dL | 体内に炎症があると血液中に現れる蛋白質の量を測定する検査です。 急性の炎症を起こすと高くなります。 |
貧血 | 血清鉄 | 40-188 | μg/dL | 減ると貧血になります。鉄欠乏性貧血と言います。 |
総鉄結合能 | 40-188 | μg/dL | 血清鉄と同時に測定することで、貧血など鉄代謝の異常がわかります。低値の場合は感染症など、高値の場合は鉄欠乏性貧血など疑います。 |
感染症 腫瘍マーカー検査
検査項目 | 基準範囲・臨床判断値 | 単位 | 検査の説明 | |
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感染症 | HBs抗原 | 0.00-0.02 | IU/mL | 肝炎を引き起こすウイルスのひとつであるB型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを調べる検査です。B型肝炎ウイルスを保有しているキャリアの場合と、急性または活動性の肝炎の場合とがあります。 |
HBs抗体 | 5.0未満 | mIU/mL | B型肝炎ウイルスに対する抵抗力の有無を調べます。陽性であれば感染したことを示します。B型肝炎ワクチンを接種した場合にも陽性となります。 | |
HCV抗体 | ― | ― | 過去または現在、C型肝炎ウイルスに感染した、あるいは感染していることを示します。B型肝炎ワクチンを接種しても陽性にはなりません。 | |
腫瘍マーカー | CEA | 5.0以下 | ng/mL | 各種の癌の確定診断における補助的な検査です。大腸癌、胃癌、肺癌、卵巣癌、乳癌などで上昇します。 |
CA19-9 | 37以下 | mIU/mL | 膵癌、胆嚢癌、胆管癌、胃癌、大腸癌で上昇します。 | |
PSA | 3.9以下 | ng/mL | 前立腺癌、前立腺炎などの前立腺疾患で上昇し、早期発見に有効です。 |
血液検査
CBCとは全血球計数(Complete Blood Count)のことで、血液中のいろいろな血球の数や大きさを測ったり、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値などを測定します。白血球は、顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)、リンパ球、単球に分けられます。白血球の分類を調べることで血液疾患(白血病)や感染症などの原因疾患の特定に役立ちます。
検査項目 | 基準範囲・臨床判断値 | 単位 | 検査の説明 |
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白血球 | 3.30-8.60 | 10³/μL | 感染症、各種の炎症性疾患、ストレスなどの有無や程度を推定するとき、また血液疾患、とりわけ白血病を疑うときや白血病の治療効果を判定するときに本検査を利用します。 |
赤血球 | 男 4.35-5.55 女 3.86-4.92 | 10⁶/μL | 貧血の分類や赤血球増加症を疑う時の診断およびこれらの疾患の経過観察に利用します。 |
ヘモグロビン | 男 13.7-16.8 女 11.6-14.8 | g/dL | |
ヘマトクリット | 男 40.7-50.1 女 35.1-44.4 | % | 血液全体に占める赤血球の容積の比率。貧血の分類や赤血球増加症を疑うときの診断およびこれらの疾患の経過観察に利用します。 |
平均赤血球容積 | 83.6-98.2 | fl | 赤血球1個の平均的容積。貧血の場合その種類の判定の目安となります。 |
平均赤血球 ヘモグロビン量 | 27.5-33.2 | pg | 赤血球1個に含まれるHbの平均です。貧血の場合その種類の判定の目安となります。 |
平均赤血球 ヘモグロビン濃度 | 31.7-35.3 | % | 一定の容積の赤血球に占めるHbの濃度です。貧血の場合その種類の判定の目安となります。 |
血小板 | 158-348 | 10³/μL | 血小板減少症や増加症の診断出血傾向が疑われるとき止血異常の |
網状赤血球数 | 0.2-2.0 | % | 骨髄における赤血球産生の指標です。特に再生不良性貧血や溶血性貧血の推定 、 貧血治療の効果判定に有用です。 |
好中球 | 40.0-75.0 | % | 肉体的・精神的ストレス、感染症、炎症性疾患、血液疾患、薬剤の影響により変動します。 |
好酸球 | 1.0-5.0 | % | アレルギー疾患、感染症、血液疾患などで上昇します。 |
好塩基球 | 0.0-1.0 | % | アレルギー疾患、血液疾患などで上昇します。 |
単球 | 0.0-10.0 | % | 感染症、炎症性疾患、血液疾患、薬剤の影響により上昇します。 |
リンパ球 | 20.0-50.0 | % | 感染症、炎症性疾患、血液疾患、薬剤の影響により変動します。 |
血沈 | 男 2.0-10.0 女 3.0-15.0 | mm 1時間値 | 急性炎症の診断・病勢、慢性炎症の経過・治癒判定に有用です。 |
凝固検査
血液の固まる時間や各凝固・線溶因子の量を測定し、凝固・線溶反応が正常かどうかを調べる検査です。
検査項目 | 基準範囲・臨床判断値 | 単位 | 検査の説明 |
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PT%活性値 | 70-130 | % | 出血性素因中の凝固線溶系の異常を疑う時、抗凝固療法時のコントロールに使用されます。 |
PT-INR | 0.85-1.15 | INR | |
APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間) | 24.0-34.0 | 秒 | 出血性素因中の凝固線溶系の異常を疑う時、抗凝固療法時のコントロールに使用されます。 |
Fib (フィブリノゲン量) | 200-400 | mg/dL | 出血・血栓傾向のスクリーニング検査。炎症などで上昇し、肝障害などで減少します。 |
FDP | 5.0未満 | μg/mL | 線溶亢進状態,凝固亢進状態の存在を疑うとき、播種性血管内凝固症候群、血栓症の診断や治療経過の観察、線溶療法の経過観察に利用されます。 |
Dダイマー | 1.0未満 | μg/mL | 凝固・線溶亢進を疑う場合、血栓症・播種性血管内凝固症候群の診断や経過観察、線溶療法の経過観察に利用されます。 |
AT-Ⅲ | 80-130.0 | % | 活性が50 %前後になると、外傷、手術、妊娠分娩、経口避妊薬服用などを契機に動静脈血栓症、特に下肢深部静脈血栓症や肺塞栓症を発症しやすいです。 |
可溶性フィブリン(SF) | 7.0未満 | μg/mL | 凝固亢進状態をまねく基礎疾患が存在するときや血栓症・播種性血管内凝固症候群の診断に利用されます。 |
尿検査
尿とは血液中の水分や老廃物が、腎臓で濾過されて生成された液体のことで、尿中の蛋白や糖などを調べ、様々な病気やその兆候を知ることが出来る検査です。
検査項目 | 基準範囲・臨床判断値 | 単位 | 検査の説明 |
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pH | 4.5-7.5 | ― | 腎疾患あるいは代謝異常の検査です。継続的にアルカリ性である場合は膀胱炎などの尿路感染症、酸性の場合は糖尿病や痛風などが考えられます。発熱や下痢をしている時にも尿は酸性になることがあります。 |
糖 | 50未満 | mg/dL | 腎臓の機能低下や血糖が一定数値を超えた時などに、糖が尿中に漏れ出てきます。糖尿病や腎機能障害などで尿中に出てくる場合が考えられます。 |
蛋白 | 30未満 | mg/dL | 本来なら、腎臓できれいに濾過され再び血液に戻るはずの蛋白が、尿に漏れ出したもの。腎盂腎炎、ネフローゼ症候群、糸球体腎炎など腎臓のトラブルや膀胱炎、尿道炎など尿路のトラブルの可能性があります。また、健康な人でも生理前後や激しい運動後、ストレスにさらされている時発熱時などにも異常値が出る場合があります。 |
潜血 | (-) | ― | 尿中に血液が混ざっているかをどうかを見ています。(+)の場合、腎炎や腎結石などの腎臓の病気、尿道炎や前立腺炎などの尿道の病気が考えられます。 |
ケトン体 | (-) | ― | 下痢、嘔吐など胃腸の消化吸収のトラブル、糖尿病や甲状腺の病気である可能性が考えられます。 また発熱時、妊娠している時、ストレスにさらされている時、過剰なダイエットをしている時にも異常値が出る場合があります。 |
ビリルビン | (-) | ― | (+)の場合は肝炎、肝硬変などの肝臓トラブルか結石などが考えられます。 |
ウロビリノゲン | (±) | ― | (+)なら肝炎、肝硬変、肝がんなど、(-)なら胆石などによる総胆管閉塞の可能性が考えられます。 |
亜硝酸塩 | (-) | ― | 尿中の細菌の有無の指標になります。 |
白血球 | (-) | ― | (+)の場合は、尿路感染症などの尿路の炎症性疾患が考えられます。 |
比重 | 1.005-1.030 | ― | 尿の濃縮力を表す指標です。 低比重の場合は尿崩症、高比重の場合は糖尿病、脱水症などが考えられます。 |
色調 | 淡黄色 | ― | 血尿、ミオグロビン尿、ビリルビン尿、細菌尿などが考えられます。 |
混濁 | (-) | ― | 細菌尿、結晶・塩類尿などが考えられます。 |