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#03 “栄養素の不足”による貧血のお話 | 加古川中央市民病院
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“貧血”は、皆さんにとって一番身近な血液の病気ではないでしょうか?実際、腫瘍・血液内科には、若い人からお年寄りまで年齢を問わずに、一年を通じて多くの貧血患者さんが受診されます。さまざまな原因が重なり貧血になることが多いのですが、この度は“栄養素の不足”による貧血に的を絞ってお話します。そのためには、まず普段行われている血液検査の結果を理解し、かつ赤血球の成長にはどのような栄養素がどの段階で必要となるかについても知っておく必要があります。
少し難しいお話になりますが、最後まであきらめずに勉強し、“プチ貧血博士”を目指しましょう!

#03 “栄養素の不足”による貧血のお話

体中の細胞に酸素を運ぶ血液細胞を、“赤血球”と言います。大きさは7-8μmで、真ん中がくぼんだ円盤状の形をしています。その中には、鉄(ヘム)を含んだ“ヘモグロビン”というタンパク質が多数含まれています。この鉄(ヘム)に酸素が結合して、体中の細胞に酸素が供給されます。
“貧血”とは、このヘモグロビン量が低下した状態を言います。“頭がくらくらする”といった症状を指すのではありません。
ところで皆さんは、ヘモグロビン値以外に、貧血の重要な指標があるのをご存じですか?
“平均赤血球容積(MCV) ”とは赤血球の大きさを、 “平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC) ”とは赤血球の赤色の濃さを示しています。実はこれらの値から、貧血の原因を推測することが出来るのです。

赤血球は、“骨髄”の中で作られます。全ての血液細胞の元になる造血幹細胞から少しずつ成長して、網状赤血球以降になると、全身の血管の中を流れるようになります。

成長した網状赤血球や赤血球は核を持ちませんが、未熟な赤芽球は核を持ち、分裂・増殖(DNA合成)を活発に繰り返しています。一方、成熟した赤芽球以降では、ヘモグロビンや赤血球膜の合成が盛んとなり、やがて完成した赤血球が作られていきます。

それぞれの成長段階で、必要な栄養素は異なります。DNA合成の際には、ビタミンB12や葉酸、銅が必要です。ヘモグロビンや膜合成の際には、鉄やビタミンB6が必要となります。亜鉛は、赤血球の成長全体を通じて必要と考えられています。仮に、DNA合成に必要な栄養素が不足すれば、完成した赤血球のサイズが大きな貧血(MCV↑)、すなわち大球性貧血となります。ヘモグロビンや膜合成に必要な栄養素が不足すれば、完成した赤血球のサイズが小さな貧血(MCV↓)、すなわち小球性貧血となります。鉄が不足する場合には、ヘモグロビンの濃度が低下するため、赤血球の赤色が薄くなってしまう低色素性貧血(MCHC↓)となります。
つまり、MCVやMCHCの値から、貧血の原因となっている栄養素を推測することが出来るのです。健康診断などで貧血を指摘された際には、ぜひこれらの値を参考にして下さい。
最後に、各栄養素が多く含まれた食事のリストです。栄養素の不足による貧血の改善に役立てて下さいね。

ビタミンB₁₂

葉酸

鉄(Fe)

亜鉛(Zn)

腫瘍・血液内科
主任科部長  岡村篤夫
筋トレ(with SIXPAD)、有酸素運動、低糖質・高タンパク…、30kgの減量に成功しました。

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