今回のテーマは2型糖尿病です。令和元年の「国民健康・栄養調査」によると、「糖尿病が強く疑われる」人の割合は、男性19.7%、女性10.8%であり、非常に頻度の高い疾患です。しかし初期には症状がないことが多く、健診で異常を指摘されても病院を受診されず放置されるケースが少なくありません。糖尿病は様々な合併症を引き起こす非常に怖い病気であり、症状がなくてもしっかり治療する必要があります。今回は糖尿病の中でも最も頻度の高い2型糖尿病について紹介していきます。
#10 2型糖尿病とは?
糖尿病とは「インスリンの作用不足による慢性的に血糖値が高い状態」と定義されています。糖尿病は、その成りたちによっていくつかの種類に分類され、「1型糖尿病」、「2型糖尿病」、「その他の特定の機序、疾患によるもの」、そして「妊娠糖尿病」があります。このうち2型糖尿病は糖尿病の90%以上を占める最も発症が多い病態です。2型糖尿病は遺伝的因子と環境因子(食生活や運動不足、あるいはそれらに基づく肥満など)により起こっています。
糖尿病の検査・診断
糖尿病の診断は下記の3つの検査結果を組み合わせて総合的に診断します。
血糖値
血糖値は食事のタイミングにより、空腹時血糖と随時血糖に分けられます。空腹時血糖126mg/dl以上または随時血糖200mg/dl以上が、糖尿病を診断するうえでの条件のひとつとなります。
HbA1c
過去1~2ヶ月の平均血糖値を反映することから、血糖コントロールの指標として用いられます。6.5%以上が糖尿病を診断するうえでの条件のひとつとなります。
経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)
75gのブドウ糖を摂取した後、時間の経過を追って採血し、血糖値を測定します。右図のように正常型、境界型、糖尿病型を判定します。
糖尿病のこわ~い合併症
異常な高血糖が起こると、口渇・多飲・多尿といった高血糖症状が起きることはご存知の方も多いと思いますが、糖尿病の怖いところはそれだけではありません。高血糖・血糖コントロールが不良のまま放っておいてしまうと、様々な合併症が引き起こされます。
糖尿病は簡潔にいうと、動脈硬化を悪化させる病気です。血糖コントロールが不良になると、身体中の様々な血管の動脈硬化が進行します。糖尿病には3大合併症とよばれる合併症があり、それが、神経障害・網膜症・腎症です。これらは細小血管障害といわれ、細かい血管の動脈硬化の結果、血流低下や血管の破たん・出血などが起こり、これらの合併症が出現、進行します。他には、大血管障害(太い血管の動脈硬化)として、脳卒中や心筋梗塞などが挙げられます。
その他にも図の通り様々な合併症があります。ご自身にも当てはまるものがないか、一度確認してみてください。
他にも、歯周病や認知症、関節変形などとも深く関係しています。
皆さんはどこまで知っていましたか?
糖尿病の怖いところは、合併症の多さと、無症状のうちに進行してしまうところにあります。
ご自身の血糖値をぜひ測ってください。数値が高くてこれらの症状があれば合併症かもしれませんよ。
- 糖尿病・代謝内科
主任医長 播 悠介
- 毎週テニスをしています。脱・運動不足!
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