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#16 脳卒中のお話 ~ならないために、なったときのために~ | 加古川中央市民病院
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今回のテーマは「脳卒中」について紹介していきます。

#16 脳卒中のお話
~ならないために、なったときのために~

脳卒中とは脳の血管が破れたり(脳出血・くも膜下出血)、詰まったり(脳梗塞)するために起きる病気です。脳はいったん損傷すると、薬や手術でも元に戻すことができないため、麻痺や言語障害・意識障害などの後遺症を残してしまい、その結果命を落としたり要介護状態になってしまいます。

まずは脳卒中にならないように予防することが最も大切です。幸いにも脳卒中は予防すればかなりの確率で防げる病気です。それでも、脳卒中になってしまった場合にはどうすればよいのか。今回はそんな脳卒中についてのお話です。

脳出血とは

脳の血管が破れる病気で、出血した瞬間に脳細胞は壊れてしまい、麻痺や言語障害などの症状が出てしまうため、起こってしまったら治す治療法はなく、脳出血が起こらないように予防するしかありません。

脳出血の最大の危険因子は高血圧です。高血圧を予防・治療することが脳出血の予防に極めて重要です。他にも糖尿病、高脂血症、心臓病、肥満、喫煙などの治療をきっちりとすることも予防のポイントです。自宅で血圧を測って記録する事がとっても重要です。

血圧測定のポイント

  • 計測のタイミングは朝起床後トイレを済ませた後と就寝前
  • 上腕で測る
  • 複数回測ると数値は下がってきますが、それは正しい値とは言えません。測定は1回で十分です。

※測定エラーが続く場合は機械の故障ではなく、不整脈の可能性があります。

すでに血圧の薬を内服中の患者さんへ

  • 血圧の薬を飲んでいるから安心!ではなく、飲んでいい値(目安:130/80)にコントロールされている事が大切
  • 内服薬が途切れるの事の無いように、手持ちの薬は数週間分は余裕をもっておきましょう
  • 薬まかせだけではなく、食事での減塩や運動も大事

くも膜下出血とは

脳の主幹動脈(太くて大切な血管)の一部が瘤状に膨れた脳動脈瘤が破裂する病気です。脳動脈瘤が破裂すると、脳の表面を覆うくも膜という薄い膜の内側に大量に出血し、脳の機能が破綻してしまいます。脳卒中の中では最も死亡率が高く、50~60%は死亡し、30~40%は後遺症が残り、わずか10~20%の人のみが社会復帰できると言われています。

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これまで経験した事のないような突然の激しい頭痛(くも膜下出血の特徴的な症状)があれば

ただちに救急車を呼びましょう。

脳ドックの受診を

破裂する前に脳ドックを受診することで脳動脈瘤を発見することが予防の近道です。血縁者にくも膜下出血の方がいる場合は受診を特におすすめします。

ごく軽症のくも膜下出血の場合、時に感冒や頚椎症と診断されている場合があります。何かいつもとは違う頭痛が続く場合は一度専門医を受診されることをおすすめいたします。

脳梗塞とは

脳血管自体の動脈硬化や心臓など脳以外から血の塊が飛んできて脳の血管が詰まってしまうことにより、血流が滞り脳の細胞が死滅してしまう病気です。血流が途絶え脳の細胞が死滅することで身体の麻痺や言語障害などになり、場合によっては命の危険もあります。脳の細胞に酸素が行き渡らない時間が長くなればなるほど、脳細胞が救える見込みが低くなるため、発症後は迅速な治療が必要となります。

脳梗塞にならないようにするためには

基礎疾患(高血圧、糖尿、脂肪、喫煙など)の厳重管理が大切です。特に不整脈(心房細胞)には気を付けましょう。一過性脳虚血発作(麻痺や言語障害などの症状が一時的にみられたものの、自然に症状が消失したもの)も脳梗塞と同じ対応が必要です。

脳梗塞になってしまったら

血栓溶解療法、血栓回収摘出術という新しい治療が進み、脳梗塞治療は急速に進歩しています。脳梗塞の治療は時間との勝負。救急車を呼ぶなど、早い段階で医療機関を受診しましょう。

まとめ

脳卒中は起こってからでは遅い。ならないように予防することが最も大切です。不幸にもなってしまったら、おかしいと思うころがあれば、ただちに専門病院へ受診を

脳卒中予防の十か条

  • 手始めに 高血圧から 治しましょう
  • 糖尿病 放っておいたら 悔い残る
  • 不整脈 見つかり次第 すぐ受診
  • 予防には たばこを止める 意志を持て
  • アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
  • 高すぎる コレステロールも 見逃すな
  • お食事の 塩分・脂肪 控え
  • 体力に 合った運動 続けよう
  • 万病の 引き金になる 太りすぎ
  • 脳卒中 起きたらすぐに 病院へ
引用:公益社団法人 日本脳卒中協会

脳神経外科
科部長 潤井 誠司郎

 

一回限りの人生、悔いなく有意義に終えたいものです。私も脳外科医師としての仕事に生きがいを感じつつロードバイクで走り回ったりチェロを弾いたりして過ごしています。そのためには何よりも健康が大切で脳卒中は最も避けたい病気です。ならないために、なったときのために知っておいていただきたいことをお伝えしたいと思います。

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