#18 検体検査から分かること ~脂質・腎機能関連検査~
採血、検尿の検体検査からさまざまなことがわかります。 今回は糖尿病と深い関係がある脂質関連、腎機能関連の検査項目説明です。 健康診断でもよく目にする項目ですが、測定する意味をご存知ですか? 知っていると知らないとでは、検査データの見え方が変わってくると思いますので、ぜひ一読ください。 また、ご自身の検査データが今回表記している基準範囲内では 無いからといって、必ずしも糖尿病と診断されるわけではありません。 気になる方は受診されている主治医の先生とご相談ください。
★脂質関連検査について★
中性脂肪やコレステロールなどの脂質代謝に異常をきたした状態は動脈硬化の主要な危険因子であり、放置すれば脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患をまねく原因となります。糖尿病ではインスリン作用不足などにより、この脂質異常症を合併する可能性が高くなります。
脂質異常症を診断するために、主にこれらの項目を確認します。
- 総コレステロール
動脈硬化や心臓病などの循環器障害の診断や経過がわかります。
- トリグリセリド(中性脂肪)
体内におけるエネルギー源。皮下脂肪の主成分で、動脈硬化の原因となります。
- HDLコレステロール
善玉コレステロールとも言われ、抗動脈硬化作用があります。
- LDLコレステロール
悪玉コレステロールとも言われ、動脈硬化を発生、悪化させます。
★脂質異常症の診断基準★
LDLコレステロール | 140mg/dL以上 | 高LDLコレステロール血症 |
HDLコレステロール | 40mg/dL未満 | 低HDLコレステロール血症 |
トリグリセリド(中性脂肪) | 150mg/dL以上 | 高トリグリセリド血症 |
Non-HDLコレステロール (HDLコレステロールでないコレステロール) | 170mg/dL以上 | 抗Non-HDLコレステロール血症 |
★腎機能検査について★
糖尿病では合併症の一つに糖尿病性腎症があります。進行すると透析が必要になることがあります。腎臓の機能をみるための検査は以下のものがあります。
- 尿素窒素(BUN)
タンパク質の分解産物であり、腎機能障害時に上昇します。
- クレアチニン(CRE)
腎臓の働きが低下し、排泄障害が起きると上昇します。
- eGFR
年齢と血中クレアチニンから推算されます。腎機能障害が進行すると低値になります。 eGFRが30未満になると糖尿病性腎症病期分類4期以上となります。
- 尿中アルブミン
糖尿病性腎症の早期診断や病期分類に有用です。
★糖尿病性腎症の病期分類★
病期 | 尿アルブミン値(mg/gCr)あるいは尿蛋白値(g/gCr) | GFR(eGFR) (mL/分/1.73m) |
第1期(腎症前期) | 正常アルブミン尿(30未満) | 30以上 |
第2期(早期腎症期) | 微量アルブミン尿(30~299) | 30以上 |
第3期(顕性腎症期) | 顕性アルブミン尿(300以上)あるいは持続性蛋白尿(0.5以上) | 30以上 |
第4期(腎不全期) | 問わない | 30未満 |
第5期(透析療法期) | 透析治療中 |
※腎症の病期は第1期から順次第5期まで進行するものではありません。
【引用文献】
文献) 糖尿病治療ガイド 2022-2023 日本糖尿病学会(編・著)
動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2022年度版 日本動脈硬化学会(編・著)
3minutes exercise~3分間でキラリボディになろう~
バランス能力を上げるには、①姿勢を保つ筋力を鍛える、②姿勢調整能力を上げることが必要です!
今回は「バランス能力」を鍛える運動です♪糖尿病の合併症の一つ「末梢神経障害」により足先のしびれや感覚が鈍くなったり、足関節の筋力が落ちることでバランス能力が低下しやすくなり転倒リスクが上がります。
①片脚立ち
まずは、自分がどれくらい保てるか時間をチェック!
~60才:1分間
60才代:40秒
70才~:30秒
②前方ステップ練習
いつもよりやや大きめに前に一歩出して前足に重心を移動してとまる その後元の位置に脚を戻す。
③側方ステップ練習(横歩き)
横向きに1歩出して戻すを繰り返す。
出来るだけ大きく左右交互に20回
④踵歩行 爪先歩行
踵だけ(もしくはつま先だけ)をつけて歩く。
⑤タンデム歩行
左右の踵とつま先が引っ付く様にして1本の線上を渡るように歩きます。
- 臨床検査室
臨床検査技師 伊原佑香 - 最近カメラにハマり月1で撮影会を行っております。これから暖かくなりお花もたくさん咲く季節。今ある日常を少し特別に残してみませんか。