近年新しい糖尿病治療薬が続々と開発されています。しかし、副作用として低血糖は切り離せない副作用の1つです。今回は重症低血糖時の薬剤が新しく販売されましたのでご紹介致します。ただし、今回紹介する薬剤が全ての方に適正があるわけではありません。主治医がみなさんの状態にあわせてその都度適切な処方をしていますので必ず主治医の指示に従うようにお願い致します。
#09 重症低血糖について
低血糖とは?
個人差はありますが、一般的には血糖値が70mg/dL以下になると自律神経の反応による発汗、動悸、悪寒等の症状が出現します。血糖値が50mg/dL以下になると、中枢神経まで影響し、眠気、めまい、脱力感等の症状が出現します。さらに低血糖が進行するとけいれん、昏睡状態に陥る等重篤な症状が現れ、回復に他者の援助が必要2)(重症低血糖)となります。重症低血糖を起こさないように、速やかな対応が必要です。
図1 低血糖に伴う症状(血糖値の程度と一般的な低血糖症状)1)
※低血糖の症状は一人ひとり異なります。必ずこの通りに症状が起きるわけではありません。
重症低血糖は何が原因で起こるの?
食事の内 容やタイミングの不適合、アルコールの多飲、シック デイなどが大半を占め、薬剤の誤投与などでヒューマ ンエラーが含まれるものもありました3)。
図2 重症低血糖に影響した要因(医師の判断)3)
低血糖時の対応
〈軽度の低血糖の場合〉
ブドウ糖や砂糖を摂取したり、コーラなどの糖分を含む飲料を飲む方法。
〈重症低血糖時~家庭での対応~〉
2020/10~バクスミー点鼻粉末剤3mgが発売となりました。
【バクスミー点鼻粉末剤3mg】
〈特徴〉
- 1回使い切りの製剤(試し打ち不可)
- 迅速かつ簡便に投与可能
※重症低血糖時(けいれん、昏睡状態など)は、ご家族等の介助が必要です。ご家族等が点鼻薬の手技獲得が必要となります。
〈よくある副作用〉
悪心、鼻痛、血圧上昇
※病態に応じて処方されるため、全ての方に適しているわけではありません。必ず主治医の指示に従うようにお願いします。また、使用方法、使用後の対応等に関しては医師・薬剤師に確認お願いします。
引用文献1)糖尿病ハンドブック あなたを守る低血糖マニュアル
引用文献2)日本糖尿病学会編・著.「糖尿病診療ガイドライン2019」,南江堂,2019,p334
引用文献3)日本糖尿病学会「糖尿病治療に関連した重症低血糖の調査委員会報告」,糖尿病.2017;60(12):826-842
- 薬剤部
浦野 真弘 - 1型糖尿病も上手く付き合えばサンペール選手のようにプロで活躍することができます。皆さんならどう支援しますか?
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