TEL
肺がん | 加古川中央市民病院

肺がん

ホーム がん特設サイト 肺がん

肺がんについて

肺がんは気管支や肺胞の細胞が何らかの原因でがん化したものです。早期には症状が見られない場合も多く、発見された時には進行しており、全身のがんの中では最も治療が難しいがんの一つです。肺がんは細胞型の違いによって大きく「小細胞肺がん」と「非小細胞肺がん」に分けられます。それぞれがんの性質や治療方法、治療に対する反応性などが異なります。肺がんの原因として約70%はタバコですが、その他に受動喫煙、環境、食生活、放射線、薬品が挙げられます。タバコと肺がんの関係は大きく、タバコを吸う人の肺がんになるリスクは吸わない人に比べて男性で4.4倍、女性で2.8倍といわれています。

肺がんの種類と特徴

種類主な発生特徴部位主な発生部位
非小細胞肺がん腺がん
(約60%)
・男女比は約2:1
・女性の肺がんの約7割を占める(女性患者の多くは非喫煙者)
・早期では症状がでにくい
肺野
扁平上皮がん
(約15%)
・喫煙者、男性に多い
・放射線療法への感受性が高い
肺門
大細胞
(約5%)
・発症頻度は比較的稀
・男性に多い
・進行が比較的早い
肺野
小細胞肺がん(約15%)・喫煙者、男性に多い
・進行が早く転移をおこしやすい
・薬物療法や放射線療法への感受性が高い
肺門

症状

早期には症状が見られないことも多く、進行して初めて症状が出ることもあります。咳や痰、血痰(痰に血が混じる)、胸の痛み、動いたときの息苦しさや動悸、発熱などさまざまですが、これらの症状はほかの呼吸器の病気でもみられます。また、症状がないまま進行し、医療機関での定期的な検診や、ほかの病気の検査で偶然見つかることもあります。

検査

肺がんが疑われるときは、まず、胸部X線検査を行います。異常が見られた場合には胸部CT検査を行い、がんが疑われる病変の有無や場所を調べます。これらの検査で異常が見つかった場合には、肺がんが疑われる部位から細胞や組織を採取する病理検査を行い(気管支鏡検査等)、がんの診断やがんの場合はどのような種類のがんかについての診断を確定します。同時に肺がんの広がりを調べるためにPET-CTや脳MRIを行います。採血を行い肺がんのマーカーも測定します。

気管支鏡検査

鼻や口から肺に直径5mm程度の内視鏡を挿入し、がんが疑われる部位の細胞や組織を採取します。

治療方法

治療方法は、がんの進行度やがんの性質、患者さんの希望や生活環境、年齢を含めた体の状態などを総合的に検討し、医師と話し合って決めていきます。がんの進行度は肺がん取り扱い規約(日本肺癌学会)による臨床病期に依ります。

臨床病期I着・II期の治療

肺がんが局所に限局していることが多く手術が勧められます。近くのリンパ節に転移がある時もあります。肺の切除をすることで体内の肺がんを完全に取り除くのを目標とします。ただし、患者さんの状態(体力)が手術に耐えられない場合や患者さんの希望により、他の治療を行うこともあります。

臨床病期III期の治療

肺がんが局所に限局しておらず、近くの臓器や離れたリンパ節に肺がんが広がっている状態です。多くの患者さんには放射線治療と薬物治療を組み合わせる治療となります

臨床病期IV期の治療

肺がんが局所に限局しておらず、近くの臓器や離れたリンパ節に肺がんが広がっている状態です。多くの患者さんには放射線治療と薬物治療を組み合わせる治療となります

引用:日本肺癌学会「第4章 治療の概要 Q27
肺がんの治療はどのように決めていくのですか 〜臨床病期(ステージ)と治療選択〜」を参考に作成

手術療法

基本的に肺を切除することで肺がんを完全に取り除くことが目的です。そのために切除する肺の量は患者さんによって異なります。切除範囲は広い順に4つあります。肺全摘術・肺葉切除術・区域切除術・部分切除術です。肺を切除するだけでなく、所属する肺門縦隔リンパ節も郭清し病期を決定します。基本的に創が小さく手術侵襲の少ない胸腔鏡下手術やロボット支援下手術で行いますが、必要な場合は大きな創で開胸手術を行います。

放射線治療

肺がんのがんの完治を目的で行う「根治療」と、がんの痛みや気道、食道、血管などの圧迫症状を取り除くことを目的とした「緩和的放射線治療」があります。体の状態があまり良くなくても行うことのできる比較的負担の少ない治療ですが、局所だけの治療なので、周囲に広がっているがん細胞に対しては有効ではなく、治療効果は手術より劣ります。

薬物療法

がん細胞の増殖や成長を抑えるためのお薬を内服もしくは点滴により体の中に入れる治療です。大きく分けて、抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬の3つの治療法があります。

抗がん剤による治療

抗がん剤を用いて増殖しているがん細胞を直接攻撃する治療です。抗がん剤の量を増やすと正常な細胞にも影響(副作用)を及ぼしてしまいます。

分子標的薬による治療

特定の遺伝子変異をもつがん細胞に、高い効果が期待できる治療薬です。

免疫療法

免疫チェックポイント阻害薬を使用し、自分の免疫細胞が、がんを攻撃しやすくなるための薬です。

放射線化学療法

抗がん剤による全身治療と放射線による局所治療を併用した治療で、通常同時に行われます。原発巣と転移したリンパ節に行われることが多い治療で、根治を目的として行われます。

術後補助化学療法

根治的な標準手術が行われた後、切除肺の検査でリンパ節転移が存在した場合に、より良好な予後を得るため、補助治療として全身治療が行われることがあります。

スタッフ

専門分野

呼吸器外科

学会専門医・認定医

日本外科学会外科専門医
日本呼吸器外科学会呼吸器外科専門医
日本胸部外科学会認定医
厚生労働省認定臨床研修指導医
医学博士

関連するニュース記事