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食道がん | 加古川中央市民病院

食道がん

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食道がんについて

食道がんは、食道の粘膜から発生し、食道の外側に向かって広がっていきます。食道は大動脈や気管に囲まれており、がんが食道の外側まで進むとこれらの臓器にも広がります。粘膜内にとどまるものを早期がんと呼び、粘膜を超えて広がるものを進行がんと呼びます。また、胃や大腸と異なり、早期にリンパ節転移を生じやすい特徴があります。日本人では扁平上皮がんが多く、欧米では腺がんが多いです。50歳以上の男性に多く、飲酒や喫煙習慣があると食道がんになりやすいと言われています。

食道がんの深達度

症状

食道がんの初期に自覚症状はほとんどありませんが、食事の際に違和感やしみる感じがすることがあります。がんが大きくなり食道が狭くなると食事のつかえなどの症状が出てきます。他にも背中の痛みや、体重の減少、声のかすれが生じることもあります。

検査

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)でがんを直接確認します。NBI(狭帯域光観察)という内視鏡検査の方法では、通常の内視鏡検査では見つけにくい早期がんを見つけることができます。内視鏡検査の際に、実際に組織を採取して診断を確定します。
バリウムを使用した透視の検査では、がんの位置や大きさ、狭さの程度を評価します。
CT検査やPET検査では、がんの広がりや、リンパ節転移や遠隔転移の有無について評価します。

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)

バリウム検査

CT検査

PET検査

診断

検査の結果から、がんの広がり、リンパ節転移の程度、遠隔転移の有無を組み合わせて、進行度(ステージ)を診断します。
※遠隔転移とは、肝臓や肺、骨への転移のことで、がんが全身に広がっていると考えられます。
※リンパ節転移には、がんから近い場所のリンパ節転移(領域内)と、離れた場所のリンパ節転移(領域外)があり、領域外リンパ節転移は遠隔転移と判断します。

治療方法

ステージによりガイドラインに則った治療方法を提案しますが、患者さんの全身状態や希望も含めて治療方針を決定します。

転移N0N1N2、N3、M1aM1b
T0、T1a0ⅢAⅥB
T1bⅢAⅥB
T2ⅢAⅢAⅥB
T3rⅢAⅢAⅥB
T3brⅢBⅢBⅢBⅥB
T4ⅥAⅥAⅥAⅥB
食道がんのステージ表
日本食道学会編.臨床・病理 食道癌取扱い規約 第12版.2022年,金原出版.を参考に作成

ステージⅠからⅣAでは、治癒を目指す治療を選択します。早い段階のがんでは、口からの内視鏡で切除が可能です。もう少し進んだがんの場合には手術や化学放射線療法(抗がん剤と放射線治療を組み合わせた治療)を行います。遠隔転移はないものの、気管や大動脈へ広がっていて切除が難しい場合には化学放射線療法で治癒を目指します。ステージⅣBは、遠隔転移を伴っている場合のステージです。この場合は、治癒を目指すことは難しく、がんが悪くなることを遅らせる薬物療法(抗がん剤治療)を行うことが一般的ですが、薬物療法の効果により遠隔転移が制御できる場合には治癒を目指す治療に方針を変換(コンバージョン)することがあります。

手術療法

内視鏡による治療

口から挿入した内視鏡によって病変を切除します。広がりによって内視鏡的粘膜切除術(EMR)と内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)といった2つの方法があります。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
EMRで切除が困難な大きな病変に対して

外科治療

食道と胃の一部を切除します。同時に頚部・胸部・腹部の転移しやすいリンパ節を切除します。切除後は、残った胃を頚部まで引き上げて、残った食道と吻合します。おなかの臓器と比較しても、手術の範囲が胸部や頚部に及ぶため、患者さんへの負担も大きく、負担の少ない手術(内視鏡手術)への切り替えが進んでいます。

胸腔鏡下食道切除

胸腔鏡下手術
従来の大きく胸を切って開ける手術と比べて傷が小さく、痛みも少ない手術が可能となっています。胸腔鏡というカメラや鉗子を用いて、食道やリンパ節を切除します。カメラ(内視鏡)によってより拡大されてより鮮細にわかりやすくなった画像を基に、確実に食道と病巣を切除します。

手術支援ロボット
患者さんの身体に小さな穴を数か所開け、各アームに接続されたカメラや手術器具が体内に挿入されます。手術する部分を拡大して観察するので、出血の少なく繊細な手術が可能になります。

    食道の再建

    放射線治療

    放射線治療には薬物療法(抗がん剤)と組み合わせて治癒を目指す根治的照射と、がんによる症状を緩和することを目指す緩和照射があります。根治照射は通常、5-6週間連続した照射が行われます。

    薬物療法

    薬物療法単独で食道がんが治癒する確率は低いため、手術や放射線療法と組み合わせて治療を行います。ステージⅡ/Ⅲの食道がんは通常、手術前に化学療法を行います。手術前に薬物療法を行うと、術後の再発率が低くなることが臨床試験で証明されています。最近では、免疫療法が食道がん治療にも導入されており、遠隔転移のある患者さんや術後に再発して治癒することが難しいと考えられる患者さんの生存期間が延長しています。

    スタッフ

    専門分野

    外科一般

    学会専門医・認定医

    日本外科学会外科専門医・指導医
    日本消化器外科学会消化器外科専門医
    日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医
    日本食道学会食道科認定医
    日本がん治療認定医機構がん治療認定医
    ICD制度協議会インフェクションコントロールドクター
    厚生労働省認定臨床研修指導医

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